孤立する北の暴君 北朝鮮の人権問題をメディアが取り上げない理由

2011年、北朝鮮の最高指導者に就任した金正恩第1書記。それから4年間にわたり北朝鮮は迷走を続けています。 


北朝鮮は2006年以後、10年間にも及んで国連の制裁を受けていますが、制裁を無視して核開発に突き進む背景には何があるのでしょうか?


世界中のマスコミは、北朝鮮の核開発やミサイル発射問題を大きく扱っていますが、人権問題と関連付けた報道はほとんど見かけません。


各国の大手メディアが人権問題を取り上げないのは、北朝鮮の人権侵害の実態が、想像を絶するほど凄惨であるという事情があるからだといいます。


北朝鮮の凄惨な人権問題を世界中に報道してしまえば、「被害者を救済しなくても良いのか?」「そんな酷いことをしている独裁者を放置しておくのか?」という問題に直面することになります。


また、北朝鮮に多大な影響力を持つ中国との関係も問題視されてきます。

中国は北朝鮮の核開発には明確に反対していますが、国内では人権問題で多くの問題を抱えています。


北朝鮮の人権問題を叩くと、中国はどうなんだ、という事にもなりかねません。

現在の中国の経済力や影響力、米国との関係などを考えると、中国への内政干渉になり中国の反発を買うことになります。


人権を問題にして北朝鮮に圧力をかけると、かえってその凄惨さが増す可能性があり、中国、ロシア、韓国は、北朝鮮と隣接しているために、世界が北朝鮮の人権問題を支援し、逆に制裁によって北朝鮮の箍(たが)が揺るんだ場合、北朝鮮からの難民の流出も懸念されています。


国連調査委員会(COI)最終報告書の証言で、にわかには信じがたい衝撃的な事実も報告されています。

【母とその子は収容所内の懲罰棟に連行され、赤子は犬のエサの器に投げ込まれた】

政治犯収容所で看守として働いた経歴のある脱北者の証言です。


北朝鮮では、多くの人が「罪状」すら知らされないまま連行され、政治犯収容所では、拷問や強姦、公開処刑が日常的に行われるといいます。


韓国の情報機関の発表によると、この4年間で金正恩氏が処刑した朝鮮労働党幹部の数は、なんと100人以上にもなり、功労者のみならず、親族までも容赦なく、血祭りに上げているようです。


2015年5月に玄永哲(ヒョンヨンチョル)国防相(享年66)が表舞台から姿を消しましたが、金正恩氏に対して面と向かって「やっぱり若い人は、政治できないよね」と批判したのが粛清の原因だったと噂されています。


2014年も、政権ナンバー2の座にあった張成沢(チャンソンテク)元国防副委員長(同67)が直系親族も含め、全員が処刑され、また側近2名も泥酔状態の正恩氏に「指示を即座に実行しなかった」との理由で処刑されていといわれています。


処刑人数は12年に17人、13年に10人、昨年にはなんと41人と急増しています。

金正恩氏は、世襲によって権力を移譲されたことを強く意識していて、「金王朝体制」を守り、自身の代でさらに発展させたいとの意思が極めて強いと言われています。


しかし、正恩氏には“未熟”“力不足”という世間の評価や雑音が聞こえてきて、自分の威厳を示すためと、見せしめの意味もあって、苛烈な処罰を加えるケースが増えているようです。


正恩氏は子飼いを要職に就け、軍や党をさらに手中に治めるために、世代交代を速やかに促進するためにも、重鎮の存在は邪魔だと言われています。


正恩氏は、張成沢派の残党の動向に「細心の注意を払え」と保衛部に命を下しています。彼らによる復讐(テロやクーデーター)を恐れているのです。

処刑を続けることで孤立する北の暴君、この粛清は何を招くのでしょうか。


髙 英起氏記事参考

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