広島中3男子自殺 ずさんな学校 間違った進路指導が若者の命を奪った 

昨年12月に、広島県府中町の町立中学3年の男子生徒(15)が自殺しました。


「万引きの記録があるため、志望校への推薦は出せない」、この誤った非行歴に基づく進路指導が一人の若者の命を奪ってしまいました。


進路指導は、昨年の11月中旬から128日まで計5回行われました。

男子生徒は、校長の推薦が必要な私立高校への専願受験を希望していて、担任の女性教師は男子生徒に対して、「万引きの記録が残っているため、志望校への推薦は出せない」と繰り返し説明していました。


女性教師は保護者にもその事実を伝えましたが、12月8日の夜に、男子生徒は自宅で自殺しました。

進路指導はいずれも廊下で行われていて、時間も515分程度だったようで、学校側も、進路指導の方法は各教師の裁量に任せており、マニュアルの作成などは行っていなかったと明かしています。


問題の万引き事件が発生したのは、平成25年10月6日で、広島市内のコンビニエンスストアから、同校の1年生の男子生徒2人が万引したと学校に連絡がありました。


出勤していた教諭が応じ、休日だったために担任への連絡をしないまま、店に駆けつけ、2人の保護者を呼んで店に謝罪させました。


2日後の10月8日に開かれた生徒指導推進委員会で、出席者から誤りの指摘があり、全員が誤記を認めましたが、サーバーの記録は直されないまま残されてしまいました。


さらに推進委の会議の議事録も作成されておらず、最重要メンバーだった校長は「出張が多い」などの理由で出席していませんでした。


このときサーバー入力を担当した教諭は「聞き間違えなのか、入力ミスなのかも分からない」と、無責任な言い訳を繰り返しています。


誤入力されたままになった万引記録に基づき、515分程度の進路指導が廊下で行われていたわけです。


担任の女性教諭は、「男子生徒から明確な否定がなかったため、確認が取れたと判断した」などと釈明しています。

また、生徒との一連のやり取りで、「親に万引きのことは言わないで」と生徒が発言したこともあり、担任は万引きがあったと確信したとも話しています。


学校側は、1~3年生時に触法行為があるとされた19人の生徒の担任に、「いつ、どこで、何をしたか」を本人から確認するよう求めたていましたが、自殺した生徒の担任は具体的なことを聞かないまま、「本人確認できた」と報告していました。


進路指導によって男子生徒はショックを受けており、男子生徒は日頃から「どうせ言っても先生は聞いてくれない」と親に不満をぶつけていたといいます。


学校側は、自殺直後に「病死」と公表しており、その理由として、「受験が近いこと」「男子生徒の保護者の意向」と説明しています。


男子生徒は、成績優秀で素行にも問題のない生徒だったといい、部活動や勉強に一生懸命励み、同級生からも一目置かれ、性格も明るく友人が多かったそうです。

3年生で同じクラスだった生徒は、「真面目で、優しく、人の悪口は言わないし、友達がたくさんいたのに」とその死を惜しんでいます。


なぜ自殺した男子生徒が、万引き事件について明確に否定出来なかったのか、その真意ははかりきれませんが、一般的に、そのような優秀な生徒は教師の追及に対し、強く否定できない傾向が強いと言われています。


また、やってもいない万引き事件に関与している、と学校から言われた訳で、先生は信頼できず、親にも相談できず、一人で悩んで追い込まれてしまったようです。


学校側が、万引き事件が起こった時に、現場に駆けつけて対応した教諭に確認をとれば、全ての事実は簡単に判明したはずで、そのずさんで無責任な生徒指導が今回の事件を生みだした事は否定出来ません。


学校側は、「在学中の触法行為をしていない」ことを、校長の推薦が必要な私立高校への専願受験の条件の一つとして定めていました。


従来は1、2年時に触法行為があっても推薦していましたが、昨年の11月20日に、在学中の触法行為を1~3年生時の3年間に変更しています。


12月7日に自殺した男子生徒と面談し、推薦出来ない事を伝え、12月8日に男子生徒が自殺。その後、12月22日に元の「1、2年時に触法行為があっても推薦する」という規定に変更しています。


こういう事件が起こるたびに、学校側や関わった教師たちに対する社会的ペナルティが軽いという批判が起こります。

実際、校長や担任教諭がこういう事件で懲戒免職になった、という話しはほとんど聞いたことがありません。


自主退職する関係者は多いかもしれませんが、懲戒免職になる教育者はなく、今回の様な学校のずさんな管理、体制、生徒指導が原因で起こった事件では、その関係者の責任の重みを改めて考えなければいけません。

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